【2025年最新版】ボディカメラ完全ガイド|あなたの現場用途に適した機能や性能は?
現場の安全管理や作業品質の向上に役立つツールとして、今ボディカメラが注目されています。ボディカメラは工事現場や警備などの業務中に胸や肩へ装着し、現場の映像や音声を記録できるカメラです。
本記事では「ボディカメラを導入したいが、どの機種を選べばよいかわからない」という方向けに、概要、用途別・業界別の選び方、性能や機能のチェックポイント、そして導入事例までを整理しました。
ぜひ参考にしていただき、自社の現場に最適なボディカメラを選んでください。
ボディカメラの概要
ボディカメラは、胸や肩に装着して現場の映像や音声を記録できる業務用カメラです。従来の固定カメラでは捉えきれなかった「作業員の目線に近い映像」や「その場の音声」を残せることから、近年注目が高まっています。
もともとは海外の警察が職務の透明性を確保するために導入しましたが、現在では工事現場や対人サービスなど幅広い業界で利用が広がっています。
- 警察・警備:市民とのやり取りの公平性を確保
- 工事現場:遠隔臨場や事故・トラブル発生時の証拠記録
- 対人サービス:顧客トラブルや対応状況の記録
このようにボディカメラは、「第三者の目で事実を残す」ことができるツールとして、多くの現場で普及しつつあります。
第2章 ボディカメラの定義
ボディカメラには多くの種類がありますが、大きく分けると 現場を想定して設計された業務用 と 汎用的に使えるコンシューマ用(アクションカメラなど) の2つに分類できます。代表的な特徴は下記です。
業務用
- 長時間駆動(8〜16時間)
- 暗視機能で夜間や暗所でも撮影可能
- 広角レンズで死角をカバー
コンシューマ
- 超高画質(4K・高フレームレート)
- 軽量・コンパクト設計
- 豊富なアタッチメント
また、より広い概念として「ウェアラブルカメラ」という言葉もあります。これは体に装着できるカメラ全般(例:ボディカメラ、ヘルメットカメラなど)を含みます。
本記事では混乱を避けるため、「業務用ボディカメラ」 に絞って解説します。
ボディカメラが活躍する業界
ボディカメラが利用される場面は、大きく分けて 現場作業・インフラ系 と 対人サービス・公共対応 の2つに分類できます。
ここでは、それぞれの業界での主な活用シーンを紹介します。
① 現場作業・インフラ系業務
- 建設・土木
遠隔臨場や遠隔立ち合いで活用。国土交通省が推進する「i-Construction」にも採用され、工事記録や作業品質の担保に役立っています。 - 鉄道
電気・保線作業の品質向上や夜間工事の安全管理で利用。事故発生時の証拠映像としても有効です。 - ガス・電力・水道
設備点検や保守作業を映像で残すことで、遠隔からのWチェック(ダブルチェック)が可能になり、ヒューマンエラーを削減。 - 航空・港湾
荷役作業やセキュリティチェックを記録することで、不正防止や安全確認に貢献。 - 防災・災害対応
災害現場の状況をリアルタイムに記録・共有し、指令室や本部からの遠隔指示に活用。
② 対人サービス・公共対応業務
- 警備・警察
市民対応の透明性確保やトラブル時の証拠として活用。海外では導入が義務化されている国もあり、日本でも注目度が高まっています。 - 医療・介護
教育・研修用の記録や、事故防止のためのモニタリングに活用。現場改善や職員教育にも役立ちます。 - 小売・接客
顧客トラブル発生時の状況証拠を残し、従業員を守るツールとして注目。 - 公共サービス(自治体・交通機関窓口など)
窓口対応や利用者トラブル時の証拠として活用。公平性や信頼性の確保につながります。
まとめ
このようにボディカメラは、現場の透明性確保・安全性向上・コスト削減 の3つの観点から導入が進んでいます。今後も法規制やDX推進とあわせて、さらに普及が加速すると考えられます。
ボディカメラの選び方
ボディカメラには多様なモデルがあります。
ここでは「用途 → 性能 → 将来活用」という流れで、読者が迷わず選べるように整理しました。
4-1. 用途で選ぶ:通信/録画/ハイブリッド
通信型(オンライン型ボディカメラ)
特徴
- LTEやWi-Fiを通じてリアルタイムに映像・音声を配信可能
- 保存方法はクラウド直送型が基本
活用例
- 遠隔臨場・遠隔立ち合い
- 指令室からのリアルタイム指示
- トラブル時の即時判断
メリット
- 電話や無線が不要
- 映像の記録漏れリスクがない
デメリット
- 通信費用が発生(1万~3万/月程度)
- 電波圏外は映像・録画が途切れる
録画型(オフライン型ボディカメラ)
特徴
- 本体に録画して後から確認するタイプ
- 一旦本体に保存が基本で、必要に応じてクラウドやPCに移行
活用例
- 作業品質の検証
- 不安全行動の改善
- 事故・トラブル発生時の証拠保全
メリット
- 高画質な映像を残せる
- 運用コストがかからない
デメリット
- リアルタイムの映像共有不可
- データ移行作業必須で作業員負担増
ハイブリッド型(通信+録画型ボディカメラ)
特徴
- 通信しながら本体に映像を高画質で保存できる
- 保存方法はクラウドとローカルの両立
活用例
- 災害現場や大規模工事など「即時対応+証拠保全」の両方が必要な場面
メリット
- 通信・録画型の両メリットを享受
デメリット
- 処理増で駆動時間が短い傾向にある
4-2. 性能で選ぶ:必ず確認すべき機能
長時間駆動(稼働時間)
ボディカメラ選びで最も重要なのは 「バッテリがどれだけ持つか」 です。
作業中にバッテリが切れた場合、証拠映像が残らないという致命的リスクが発生します。
- 最低基準:8時間(1勤務分)
- 推奨基準:12〜16時間(昼夜連続作業にも対応)
また、リチウムイオン電池は使用年数とともに劣化し、3年後には稼働時間が半分近くまで低下することもあります。
長期運用する場合、導入時に余裕を持った稼働時間(14時間以上)を確保することをお勧めします。
バッテリ交換式も検討の余地がありますが、作業中のバッテリ交換の手間・充電管理の工数も増え作業員の負担が増加する恐れがあることを念頭に入れなければなりません。
赤外線暗視機能
夜間作業や暗所での使用があるなら必須です。
通常のカメラでは暗闇は「真っ黒」ですが、赤外線LEDにより白黒で人物や物体を捉えられます。
- 一般的な照射距離:5〜10m
- 推奨:10m以上(工事現場・警備用途では必須)
注意点としては、赤外線の照射範囲が狭いと 映像端が黒潰れしてしまい、見逃しリスクが発生します。
現場の広さに応じて、照射角度や範囲を確認しましょう。
手振れ補正
胸や肩に装着する特性上、映像はどうしても揺れます。
揺れが激しいと、確認時に 「映像酔い」を引き起こす恐れがあり、証拠映像としての信頼性も低下します。
- 電子式補正(EIS):ソフトで制御、軽量・低コスト。多くの業務用に採用。
- 光学式補正(OIS):レンズやセンサーを物理的に動かす方式。画質は良いがコスト・重量が増える。
多くのボディカメラは電子式を採用しています。いずれにせよ、手振れ補正機能は必須機能として検討することをお勧めします。
画角(視野角)
「何度の画角があるか」で、映せる範囲が変わります。
- 100°未満:対象を大きく映せる
- 120°以上:全体を記録しやすい
120°以上の広角を使う場合は「歪み補正機能」の有無をチェックしましょう。
防塵・防水(IP規格)
屋外利用では欠かせない性能です。
防塵・防水性能は「IP○○」という国際規格(IEC 60529)で表されます。
- IP65:粉塵を防ぎ、噴流水に耐えられる。一般的な屋外利用向け。
- IP66:粉塵完全防御+暴風雨や強水流に対応。鉄道・建設・警備の標準。
- IP67〜68:一定時間の水没に耐える。水中作業や特殊環境用。
多くの現場では IP66が最適。
IP67以上は特殊用途向けで、通常業務にはオーバースペックなケースが多いです。
まとめ:性能選びの優先度
長時間駆動:まずはここが最重要。
暗視と手振れ補正:現場環境次第で必須。
画角:用途に応じて100°か120〜140°かを決定。
防塵・防水:屋外現場ではIP66を基準に。
映像の活用で選ぶ
映像は単に「記録して終わり」ではありません。
近年では、記録した映像をAIに学習させ、自社の業務改善や安全対策に役立てる動きが加速しています。
ここで重要になるのは、AIが解析可能な高品質な映像かどうかです。
通信型ボディカメラによるクラウド録画はリアルタイム配信に特化しているため、画質を抑えて伝送しているケースが多く、後からの解析には不十分な場合があります。
一方で、録画型ボディカメラは本体に高画質で映像を残せるため、AI解析や学習に適しています。
AI活用の具体例
- 匿名化
映像内の顔や声といった個人を特定できる要素を匿名化。個人情報保護や法令遵守に有効。 - 作業分析・効率化
作業手順や時間配分をAIが解析し、工程改善や教育に活用。
AI活用を視野に入れるなら?
将来的にAI活用を考えている方は、録画型ボディカメラで高画質な映像を記録することをお勧めします。通信が必要な場合、通信をしながらローカルで録画できるハイブリッド型ボディカメラを選択することをお勧めします。
ボディカメラとプライバシー
ボディカメラを現場に導入する際、もっとも注意すべき課題が プライバシーと法律 です。
適切に運用しなければ、個人情報保護法・肖像権・プライバシー権を侵害するリスクがあり、企業の信頼失墜や法的責任につながります。
ここでは法律面・運用ルール・実務工夫・最新技術の観点から整理します。
5-1. 法律上の注意点
- 撮影の正当性:業務上必要な場合に限られる(例:事故調査、安全監視、教育目的)
- 許可が必要な場所:私有地・住居では所有者の同意が必須
- 撮影禁止エリア:トイレ・更衣室などプライバシー性の高い場所は原則禁止
特に「業務上の正当性」が最重要です。正当性が認められない録画は 違法リスク+損害賠償請求 に発展しかねません。
5-2. 撮影映像の取り扱いルール
録画映像は個人情報に該当するため、厳格な管理が必要です。
- 保存期間:必要最小限に設定(例:30日、90日)。長期保存はリスク。
- 閲覧制限:管理者・責任者のみに限定。アクセスログを残す。
- 業務目的限定:教育・証拠・安全管理以外の利用は禁止。
- 第三者提供:必ず本人の同意が必要。
曖昧な運用が最大のトラブル要因です。社内規程を文書化し、周知徹底しましょう。
5-3. トラブルを防ぐ工夫
法律上必須ではありませんが、「録画中」を明示することは実務上非常に効果的です。
- 録画中バッジやアナウンスで、利用者や顧客に透明性を示す
- トラブルの発生率を下げ、信頼性の向上につながる
警備業や接客業では導入事例が増加しています。
5-4. プライバシーを守る技術
ボディカメラの機能としてや周辺システムでプライバシーを保護する事例も出てきています。
- パスワード・権限管理:特定ユーザーのみが映像にアクセス可能とすることで、カメラ紛失時も外部にデータが流出しない
- AIによる匿名化処理:顔や声といった個人を特定できる要素を匿名化
「ただ撮る」だけではなく、いかに安全に管理するか も重要です。
5章まとめ
ボディカメラ導入時には以下の3点を徹底しましょう。
- 撮影の正当性を確認する
- 保存・閲覧ルールを明文化する
- 周囲に録画を知らせ、信頼性を高める
さらに最新技術を活用することで、プライバシーを守りながら 現場の透明性と信頼性を両立できます。
ボディカメラの活用事例
弊社でも鉄道業界に導入されているボディカメラを取り扱っています。導入事例をまとめたので、ご覧ください。
まとめ
ボディカメラを選ぶときは、以下のステップで考えると失敗しません。
- リアルタイム性が必要か?
→ 必要なら通信型/不要なら録画型/両立ならハイブリッド型
→ 同時にデータ保存方法も確認 - 業務に必要な性能をチェック
駆動時間(12〜16時間推奨)、暗視性能、防塵防水(IP65以上)、手振れ補正、画角 - 将来の活用を考える
AIの活用を見据えるなら、高画質録画に対応したモデルを選ぶのが安心です。
この流れで検討すれば、自社の現場に最適なボディカメラを導入できます。